スポーツ用品・販売業
過大債務企業の一部事業を活かし、第二創業(事業承継)を果たした事例
企業の概要
事業内容:スポーツ用品・販売業
従業員数:6名
売上高:1億円
ご相談前の状況
創業約30年の歴史を持つスポーツ用品製造・販売業。日本よりアジア中心にブランド力を維持し、一部のヘビーユーザーを中心に固定的な顧客を持っていました。創業者のカリスマ的能力により一時は業績を大きく伸長。しかし、国内でのスクール運営・海外関連ビジネスなど事業拡大を試みていたとき、当該スポーツ人口の減少など外的要因も加わり売上が減少。過大債務が残されていました。
企業の問題点
売り上げ減少に焦る経営者は資金繰りで頭がいっぱいになっており、どの事業が利益を生んでいるのか、どの事業が問題なのかを把握できていませんでした。後継者の息子が営むスポーツ用品販売との連携もとれていない状態でした。会計事務所は資金繰りを含め寄り添っているものの、目前のキャッシュアウト・過大債務への対応への不安もあるとのことで、当社へのご相談に至りました。
解決策
1~2ヶ月後に資金繰り破綻が迫る中、取り急ぎ仮説優先で再生(第二創業)への道を模索し、以下の2点をベースに解決策を模索しました。
①経営者が70歳を超えていたこと、かつ当該スポーツ用品の将来性が厳しいことから、現体制での過大債務の返済は困難。現経営者が一定の責任を取った上で、優良事業を第二創業という形で息子が引き継ぐことが企業・地域のためにもなる(現政府の考え方にも近い方針)。
②拡大しすぎた事業は、強みであるアジアでのブランド力を活かした事業だけを残す。売上が半分程度になることは覚悟する。
以上を踏まえ、MPSを中心にFA(フィナンシャル・アドバイザー)・弁護士も交え緊急再生チームを組成。息子を代表者とする第二会社を設立し、優良事業のみ事業譲渡を行いました。そのうえで弁護士を通して現債権者と交渉し、現法人の特別清算および最適な破産を目指したのです。
事業譲渡は、海外の商標権移管の問題で少し時間がかかったものの、全般的には円滑な譲渡を達成することができました。
本件は時間の猶予が残されていなかったこともあり、残念ながら自己破産・現経営者個人も破産を申し立てることとなりました。しかし、これは初回のご相談時より覚悟していたことであり、無資産であることも確認しながら話を進めておりました。また、金融機関にも状況を丁寧に説明し、円滑なクロージングを図ることができました。
現在、事業は第二創業という形で後継者が引き継いでいます。しかし、旧経営者は顧問として、実質的には今までとは変わりなく活躍されています。